「レーシック」とは、メガネやコンタクトレンズをかけずにものがはっきりと見えるようになるためにおこなうレーザー視力矯正治療です。世界中で毎年四百万人の方が受けるまでに広く普及しました。私は1993年からこのレーザー治療の基礎研究と臨床治療を開始し、米国留学・大学附属病院のレーザー近視治療専門外来設立などを経て今日に至っております。10年以上にわたる近視治療専門医としての経験から、このレーザー治療の臨床的な有効性と安全性は、疑問の余地のないものであると考えています。それは科学的根拠にもとづいた数多くの臨床研究の結果からあきらかです。
不自由なくメガネやコンタクトレンズで日常生活を過ごしている方にとって、近視や乱視を治療することには医学的必然性はありません。一方、日常生活の質を向上させ便利で自由快適になることが治療の目的ですから、この手術は「メガネやコンタクトレンズをかけなくても日常生活が不自由なく生活できたらいいなあ」とお考えの方すべてが対象になるともいえます。
水や煙の中で作業をしなければならない消防士のかたが、メガネやコンタクトレンズでは仕事にならないといった職業上の理由から治療をお受けになりました。サーフィンなどマリーンスポーツが大好きな方が、コンタクトでは不自由だと趣味のために治療を受けられる場合も少なくありません。野球やゴルフの選手も多くの方が治療を希望されましたし、競艇選手の学校に入学するためには裸眼視力0.6以上が必要だと、職業選択上の夢をかなえるために治療を受けた方もいらっしゃいました。海外出張が多い企業の方や航空機客室乗務員の方は、コンタクト管理の煩わしさやドライアイによる乾燥感のつらさから治療を受ける場合が多いようです。印象に残るところでは、55歳を超えた社長様が、「会社を息子に譲って私は会長職におさまることに決めました。これからは趣味のクラシックカーレースに専念したいが、メガネをかけてヘルメットではさまにならないのでどうしても近視を治したい。」とか、「娘がレーシックを絶対に受けるというので、私がどんなものかはっきりさせるために最初に受けることにした」というお母様もいらっしゃいました。
治療を受けたいと思われる動機や理由は一人一人が千差万別です。また、一口に近視や乱視といっても、目の状態は個人で大きくことなります。だからこそ短時間に数多くの治療をこなす、一部の近視レーザーセンターのような流れ作業の医療ではなく、お一人お一人の年齢や生活習慣、目の状態などにあわせたオーダーメイドの医療を実践したいと考えています。
「思い切ってやってみてほんとによかった」、「コンタクトレンズの違和感がなくなり、毎日が快適になりました」、>「プールやゴルフ場のお風呂にはいると何も見えなく不自由だったのがまるで嘘のようです」など、治療の結果に満足したといわれる時が、医者としては最もうれしく感じる時です。
しかしそうはいうものの、「はたして安全なのだろうか?」と考えるとためらう方も少なくないことでしょう。安全とはどうやって確信頂くことができるものなのでしょうか?やはり治療の内容を十分ご理解頂き、時間をかけて安心感を徐々にやしなって頂くことが重要ではないかと思います。
治療結果が100%完璧であるということはありえませんし、今後どんなに技術が進歩してもそれは不可能でしょう。
みなさまが安全だとお考えのコンタクトレンズですら、我が国では1600万人以上の方が使用していますので、漫然とした不適切な使用法などが引き金になって毎年多くの方が目の病気になっています。一方でコンタクトレンズなしの生活は考えられないとおっしゃる方は少なくありません。毎年約1万人が命を落とす交通事故ですが、普段は意識せずに自動車を運転なさっている方が少なくないのではないでしょうか。一方でその便利さから自動車がない生活は想像できません。飛行機も墜落する可能性はありますが、乗らなければ海外旅行や外国文化の楽しみを十分に体験することはできません。
レーシック治療も似た側面があります。少ないながらもリスクが生じる可能性はゼロではありません。しかし、リスクの頻度はこの手術を一般の方に広く行っても問題ないというまでに十分低いものであると、世界中の専門医によって判断されました。0.1%のリスクがあった場合、1000回治療を受けて1回の可能性をみるか999回の側に目を向けるかで、同じ事実でもだいぶ印象がことなって感じられます。
また問題点の多くは、その後の治療によって対応可能です。レーシックを受けた方は、3ヶ月もするとものがよく見えるのがあたりまえになり、目が悪かった時のことを忘れてしまいます。「人生観が変わった」とまでいわれる視力回復のすばらしさを実感するためには、「何となく怖い」という心理的な壁を乗り越えて、一定のリスクに対する合理的な選択と決断の必要性が生じます。
医療技術は常に進歩し続けます。日本だけで毎年90万件以上がおこなわれるまでに一般化し、もうこれ以上進歩しないのではないかと専門医の間で言われ続けてきた白内障手術ですら、常に技術革新がおきています。
「レーシック」も同じことです。10年前からの技術革新により、近視や乱視の治療に関してはほぼ完成の域にまで進歩した感のある治療ですが、そのテクノロジーは常に進化し続けていますし、今後も老眼の治療や、病気で黒目がゆがんでしまった不正乱視に対する治療など、さらに発展し続けることでしょう。それはコンピューターや飛行機の技術革新がとどまるところを知らないことと同じことです。 かけがえのないみなさまの大切な目の治療です。当院は現在考えうる最高のテクノロジーにもとづいた治療を提供したいと考えています。科学的根拠にもとづき実証された技術であれば、常にその時点で最先端の方法を導入し続けていきたいと思います。みなさまもご自分の目の治療には妥協をせずに、その時点で最善の方法を選択して頂きたいと思います。
大船田園眼科院長

